カラー鋼板の下地としても最適で、加工性も良好な、表面処理めっき鋼板の最高峰
日鉄鋼板 エスジーエル
ガルバリウム鋼板®の発売から約30年。確かな実績を持つガルバリウム鋼板をベースにマグネシウム(Mg)の防錆効果をプラス。ガルバリウム鋼板の3倍超※の耐食性を実現したエスジーエル®をご紹介します。
エスジーエル®とは?
高耐食性を発揮するめっき構造
エスジーエルは、ガルバリウム鋼板のめっき構造を引き継ぎつつ、マグネシウム添加により、その特長をさらに引き出すめっき構造を有しています。それにより、亜鉛めっき鋼板もちろん、ガルバリウム鋼板と比べてもとくに厳しい腐食環境で強い耐食性を発揮します。
エスジーエルのめっき構造は、ガルバリウム鋼板の高耐食性を支える「三次元網目構造」を維持しながら、2%のマグネシウムを添加。亜鉛リッチ相にマグネシウム濃化相が共存する構造になっています。
●「三次元網目構造」とは…
エスジーエルとガルバリウム鋼板のめっきは、アルミニウム含有率の高いアルミリッチ相と亜鉛含有率の高い亜鉛リッチ相が、三次元的に絡み合った複雑な構造を有しています。亜鉛リッチ相は、アルミリッチ相のすき間を縫うように網目状に存在しているため、亜鉛リッチ相が腐食する際も、網目状の複雑な経路を通って進行することとなり、めっき全体の腐食速度を遅らせる効果があります。
この「三次元網目構造」は、他の亜鉛系めっき鋼板には見られない、ガルバリウム鋼板とエスジーエルを象徴する構造です。
ガルバリウム鋼板の3倍超の高い耐食性
●複合サイクル試験
現実環境に近いとされる「複合サイクル試験」によって、エスジーエルの耐食性を評価しました。
その結果、エスジーエルの腐食減量はガルバリウム鋼板に比べ「平均1/5」と、きわめて高い耐食性を示しました。
試験体のバラつきを考慮しても、エスジーエルの耐食性は、ガルバリウム鋼板の3倍超が期待できます。
●塩水噴霧試験
常時塩水を噴霧して腐食を促進する「塩水噴霧試験」でも、エスジーエルはガルバリウム鋼板に比べて非常に優れた耐食性を示すことが確認されました。
海水や海塩粒子の影響を受ける地域や用途においても、ガルバリウム鋼板をしのぐ性能が期待できます。
エスジーエルの耐食性向上メカニズム!
エスジーエルは、マグネシウムの防錆効果を付加したことで、ガルバリウム鋼板特有の耐食メカニズムを活かしつつ、耐食性をさらに強化しためっき組成を有しています。
エスジーエル独自の耐食性向上メカニズムにより、平面部はもちろん、とくに切断端部や傷部において高い耐食性を発揮します。
●一般条件
鉄部に達する傷が生じた場合、どの鋼板にも亜鉛の「犠牲防食作用」が働きます。
ただし、エスジーエルとガルバリウム鋼板の場合、亜鉛リッチ相は「三次元網目構造」の複雑な経路に沿って溶出することになるため、亜鉛リッチ相の消耗を遅らせることができます。また、亜鉛リッチ相が溶出した空隙には「自己修復作用」により、緻密で凝集性のあるアルミ系酸化生成物が充填されます。この働きによりめっき層全体の耐久性が向上します。
さらにエスジーエルは、亜鉛リッチ相にマグネシウムが共存するため、より緻密で水に溶けにくい保護皮膜が形成され、ガルバリウム鋼板以上に優れた耐久性を発揮することができます。その効果はとくに切断端部・傷部において顕著です。
●厳しい腐食条件
厳しい腐食条件下で違いが歴然。エスジーエル独自の耐食性向上メカニズム。
エスジーエルの優れた耐食性向上メカニズムは、厳しい腐食条件下でより顕著に発揮されます。
厳しい腐食条件下では亜鉛リッチ相が急速に消耗するため、ガルバリウム鋼板でも早期腐食してしまう場合がありました。
エスジーエルはこの問題に対応。亜鉛リッチ相にマグネシウム濃化相を共存させることで、より緻密で水に溶けにくい保護皮膜を形成することが可能となりました。この効果により亜鉛リッチ相の消耗が抑えられるため「犠牲防食作用」が長期にわたり確保されます。また、アルミ系酸化生成物充填までの時間が確保されることで「自己修復作用」も最大限に発揮できるため、めっき全体の耐食性を大幅に向上させることに成功しました。